「信号待ちアイドリングストップ」シンボルマーク デザインコンテストは、2004年(平成16年)に行なわれました。このページの情報は2004年当時のものです。
「せたがや・次世代の交通生活デザイン」プロジェクト2004
「信号待ちアイドリングストップ」シンボルマーク
デザインコンテスト
入賞作品発表!
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地球規模での温暖化が進む中、その原因物質であるCO2排出量の削減が叫ばれています。
しかし自動車から排出されるCO2は、自家用車の保有台数の増加とともに激増しています。
このような状況の中で、都会では特に効果が大きく、しかも簡単にできる削減手段として注目される「信号待ちアイドリングストップ」。
その促進を人々に呼びかけ促進するために、「信号待ちアイドリングストップ」シンボルマークのデザインコンテストを実施しました。
その結果、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国から208点もの作品が集まりました。
応募者は126人。学生さんからプロのデザイナーまでバラエティに富んだ顔ぶれでした。
11月8日の審査会では、5人の審査員の先生方の間で熱い議論が繰り広げられ(!?)、その結果9点の作品が選ばれました。
グランプリ作品は、車に貼るステッカーやアイドリングストップ呼びかけサインボード、印刷物などに使用します。
また来年4月には応募作品の展覧会を開催する予定。
お楽しみに!
(審査風景写真)
審査風景(右から田口さん、永井、中川さん、鈴木さん、舘内さん)
■応募作品の展覧会
◆日時:平成17年4月13日(水)〜5月8日(日) 9時〜20時(期間中無休)
※日時は変更になる場合があります。
◆会場:生活工房3Fギャラリー
■受賞作品
作品をクリックすると拡大されます
※作品の無断使用・無断転載を禁ず
■グランプリ
山本 和久
(やまもと かずひさ)
さん
東京都渋谷区/34歳
グラッフィックデザイナー
■準グランプリ
藤井 貴幸
(ふじい たかゆき)
さん
大阪府交野市/27歳
■佳作
武岡 俊夫
(たけおか としお)
さん
熊本県熊本市/57歳
■佳作
森原 昭太
(もりはら しょうた)
さん
東京都江戸川区/22歳
審査員賞(5点)
■NAVI賞
(鈴木真人さん選出)
上野 允嗣
(うえの まさつぐ)
さん
東京都多摩市/25歳
■田口敦子賞
伊藤 みゆき
(いとう みゆき)
さん
群馬県邑楽町/29歳
■舘内端賞
及川 明美
(おいかわ あけみ)
さん
神奈川県川崎市/32歳
■中川憲造賞
丸田 修
(まるた おさむ)
さん
神奈川県横浜市/36歳
■世田谷文化生活情報
センター賞(永井選出)
大高 卓也
(おおたか たくや
)さん
神奈川県横浜市/19歳
■【審査員講評】(50音順)
■鈴木 真人(すずき まなと)さん
自動車専門誌「NAVI」編集部
ステッカーが嫌いだ。自動車好きは、タイヤやオイルのメーカーのステッカーを愛車に貼って悦に入ることが多いのだが、どうもその心情が理解できない。何を主張したいんだろう。
できれば、静かに目立たずクルマに乗りたい。クルマで自己表現したいなんて思わない。だから、アイドリングストップだって、人知れずこそこそやりたいと思っていた。実際にアイドリングストップを呼びかけている現場を見るまでは。
ボランティアがプラカードとマイクを使ってアピールしているのに、まったく無視している輩が大勢いるのだ。周知徹底のためには、いろいろな方法で呼びかけていくほかはない。しかし、押し付けになったのでは逆効果だ。
というわけで、このシンボルマーク選定にあたっては、自分のクルマに貼れるかどうか、ということをいちばんの判断基準にした。正義を高く掲げるのではなく、デザインの力で自然にアイドリングストップを行う気分になれればいい。シンボルのもとに単一の思考に収斂するのではなく、色と形がそれぞれの心情を緩やかに動かしていくのがいい。
多様な作品が寄せられたことが、何よりの収穫である。そして、素直に共感できるデザインを選ぶことができたことを喜びたい。僕自身が、真っ先に自分のクルマにこのステッカーを貼ろうと思う。
■田口 敦子(たぐち あつこ)さん
多摩美術大学グラフィック学科教授
近年、日本人は多くの人々を対象とした社会性の強いコミュニケーションの場で、情報を的確に出きるだけ速く伝える目的で、グラフィックエレメント(シンボルマークやピクトグラフ)が使用されることに馴れてきました。古くから使われてきた家紋等に見られるように、私達の国は非常に洗練された造形性を伝えてきた歴史があり、今後も積極的にシンボルマークの制作が進められることと期待しています。
今回のコンペへの応募作品は大変優れた作品が数多く見られ、興味深い審査でした。テーマが「信号」「待つ」「アイドリング」「ストップ」という多くの情報を内包しなければならず、難しかったのではないかと推察します。従って応募作品に、情報をシンボル化(絵)するだけではなく、文字表記を加えた作品が多かったのも特徴でした。
グランプリの作品は、シンプルで美しく明快なフォルムを持ち、視認性の高い赤の色は、禁止の意味と信号機の赤を表し大変優れています。文字表記の助けを借りていますが、これは使われてゆく経過のなかで区民の方々に覚えていただき(学習効果)、将来は文字表記を取り除いて、伝達内容を伝えることが可能です。
準グランプリの作品は交通標識の禁止のマークと自動車の後部、排気ガスを親しみやすい表現で絵文字化することに成功しています。
佳作(武岡さん)の作品もほぼ同様の考え方で表現され、赤い円の中に表示して視覚的に強い訴求力を有しています。この2点には文字表記が組み合わされていないことから絵の情報が複雑になり、情報の読み取りが瞬時にというシンボルマークの目的に合わなかったことが惜しまれます。
佳作(森原さん)の作品は信号機を直接的に表示し、自動車の鍵穴と鍵、文字表記、そのうえ色彩も5_6種使用し、前記の作品より更に複雑な表現ですが、情報の伝達の的確さは充分と言えます。最後に審査員賞は、情報内容に「環境」を加えた多くの作品の中から、緑の葉と鍵を組み合わせて、大変美しいフォルムと爽やかな色彩を使ってアイドリングストップを訴えた作品を選びました。
■舘内 端(たてうち ただし)さん
モータージャーナリスト、日本EVクラブ代表
世田谷区という小さな自治体の、これまた(財)せたがや文化財団の生活工房という小さな団体の取り組みにもかかわらず、多くの方から大変な数の応募をいただけたことと、ステッカーデザインに対する真摯で熱心な取り組みに大変に驚きました。まずは、応募いただいた方に感謝したいと思います。ありがとうございました。
これは、信号待ちアイドリングストップ運動の広がりと浸透の深さを示すものでもありますから、この運動を推進する者として、たいへんにありがたいことです。この熱心さがあれば、いつの日か日本中の交差点でアイドリングストップが行われることになると思います。
私も交差点でのアイドリングストップを、ここ10年ほど実行していますが、年々、実行者が増えていることに勇気倍増しています。信号が青になったのでエンジンをかけようと用意していると、私よりも一瞬早くエンジンをかける人を発見することが多くなったからです。
これも、自分のクルマが静かになっているから他人のエンジンの始動音が聞こえるわけで、信号待ちアイドリングストップをする御利益のひとつかもしれません。
応募作品の多くには、応募者自身のそうした信号でのアイドリングストップの実際の体験に基づいたアイディアが散りばめられていました。やったことのある者でなくては気づかない、とても新鮮で素晴らしいアイディアが数多くありました。アイドリングストップの大変さと楽しさの両方を知るものとして、頭が下がる思いでした。
しかし、応募者の多くの方が、『交差点』でのアイドリングストップということと、排ガスの低減というよりは、『二酸化炭素(CO2)の削減』という2点を、どう表現するかで大変に苦労されていました。この2点の表現は大変に難しかったと思います。今回のテーマを正確に理解されている応募者ほど、苦労されたと思います。この点を十分に考慮して選考させていただきました。
それでも、交差点でのアイドリングストップという視点が欠け、CO2削減よりも排ガスのストップが全面に出てしまったデザインがありました。これは、交差点でのアイドリングストップ運動がまだ十分ではないということで、私の反省材料にしたいと思います。
今回の応募をきっかけに、ぜひ信号待ちアイドリングストップを推進し、輪を広げてください。ご応募、ありがとうございました。
■中川 憲造(なかがわ けんぞう)さん
グラフィックデザイナー、NDCグラフィックス代表
せっかくいいことをしようとして、裏目に出ることがある。善意や正義感から行うことが、意に反して目指したものと逆になってしまう、なんて。よくあるでしょ、「ここに犬の糞をさせないで!」という看板が、その犬の糞よりも汚い看板だったり、「街を美しくしましょう」という垂れ幕が、街を汚していたり。また「静かにしなさい!」という声が一番うるさい騒音になったり、というように。
信号待ちアイドリングストップの審査を引き受けて、実はいちばんこのことが気掛かりだった。選ばれたシンボルマークが、街の「視覚CO2」になったらいやだなと。
だが、審査会場に並べられた応募作を眺めて、これはいい、というのを見つけたとき、このことは杞憂におわった。入賞作はどれをみても「美はチカラ」を実感させてくれ。
中でもグランプリ作は飛び抜けて造形表現がすばらしい。ステッカーやサインボードになったシンボルマークを見たドライバーは、きっと気持ち良くアイドリングをストップさせてくれそうだ。
審査員賞も、美しい造形表現のものを選ばせていただいた。車を運転する人の「心」を動かせるのは、独善的な命令や大声ではなく、気持ちのいいアピールであり、ドライバーに環境への配慮を実行させるチカラをもつのは、そのステッカーやサインボードに共感するからだと思う。
世田谷発の美しいマークが、日本全国にも拡がるよう願っている。
■永井 多惠子(ながい たえこ)
世田谷文化生活情報センター 館長
「暮らしの環境をよくしよう!」これはマルチな事業を展開する世田谷文化生活情報センター「生活工房」部門の柱のひとつです。低公害車、燃料電池を使う電気自動車展など、ここ数年に渡って展開してきた事業から生まれたのが、赤信号時に「アイドリングストップ!」をよびかけようという企画でした。この背景には京都議定書を批准したにもかかわらず、自動車の大型化などによる排気ガス量の増大があります。
60人を超える世田谷のボランテイアたちと、交通量の多い環状七号線の若林交差点などで「アイドリングストップ!」と書いたプラカードを掲げて呼びかけをしたのが秋、そして今回、シンボルマークをつくって全国に呼びかけようと決起しました。
デザイン応募は200点を超え、特に若いデザイナーの参加が多かったのは嬉しい限りです。アイドリングストップ!はて?という向きにもメッセージが伝わるように、しかも愛車に貼ってもらえるようなデザインのスグレモノ・・という観点で、選ばせていただきました。次世代のデザインとして、皆さんに愛され、地球が末永く呼吸してゆけることを願っています。